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自然とはなんでしょう?
鳥も魚も虫も植物も自然です。人も自然です。空も森も海も自然です。いわずもがな地球は自然です。最初の生命が40億年前に誕生しました。この星はわたしたちの母であり、生命のゆりかごです。たがいに共存し、結ばれています。世界を揺るがしたパンデミックをきっかけに、人新世と呼ばれる時代に警鐘を鳴らす声が高まっています。いまこそ、わたしたちは自然に学び、自然の知性に向きあいたいと思うのです。世界自然遺産にも登録された奄美大島の豊かな自然を舞台に「野外授業」を開催します。さまざまな分野のマスターの声に耳をかたむけ、意見をかわす。フィールドワークやワークショップを重ねて実体験を紡ぐ。
自然という生命をめぐる思考の連続と連帯の旅。それが「野生の学校」です。

第一回 野生の学校

第一回目のテーマは『先生、自然って、なんですか?』。
これはもちろん、養老 孟司先生に投げかけた問いなのですが、「野生の学校」の初回にあえて『自然とはなにか』という大上段にふりかざすテーマを掲げたのには理由があります。
ひとつは、この問いこそが「野生の学校」の永遠の主題であるからです。次回以降のテーマが、ある分野にフォーカスされたものになっても通奏低音として流れ続けるものです。もうひとつは、一等はじめのメイン登壇者(マスター)を養老先生にお願いした理由にあります。ご存知のとおり、先生は多数の著書や講演などを通じて、日本社会、人間関係でのわかり得なさや違和感を独自の視点で語られてこられました。同時に自然に対する造詣が外に広く内に深い方であり、自然環境に対して強い危機感を抱いておられる。そのための支援活動も積極的に行動されていらっしゃいます。都会に暮らす人へ、自然に接する大切さを説かれてこられました。そんな先生だからこそ、2024年11月時点での『自然とはなにか』という大テーマを独自の視座でお話しいただきたいと考えたのでした。
養老先生と鼎談していただくのは、平城 達哉さんと重田 美咲さんです。お二人とも奄美大島出身。平城さんは若くして奄美の動植物の魅力に心を奪われ、今でも年間120日は山に入り、植物や動物を観察しながら写真撮影をされています。重田さんは、地元秋名で国の重要無形民俗文化財「アラセツ行事」の保存会メンバーとして次世代につなぐ活動をされています。
お二人には世界自然遺産に登録された生物多様性について。島に暮らす人々の自然への深い崇敬からくる、田畑や山の神々や海の彼方(ネリヤ)の神々への祈りについてお話いただきたいと思います。そこから、普遍的な人と自然の不可分の関係性やあわいの感性を学びたいと思います。


奄美大島の食材を使った各種グルメや、黒糖焼酎などの
ドリンクを提供する店舗が限定開店


緑が丘小学校こども先生たちと奄美手塾師会による
葉っぱを使った手作り工作授業(虫籠や風車など)


1部:養老孟司校長先生の講義
  「先生、自然ってなんですか?」
2部:平城達哉先生/重田美咲先生が加わり鼎談


島唄と島踊りによる交流会

手広海岸から戸口方面の丘陵を見渡す
小高い丘に開墾された天空の広場。
大自然に囲まれ、眼下には
奄美の美しい海が広がります。
薄暮のゆるやかな時間の移り変わりを体感し、
やがて息を呑むような
満点の星を楽しめるロケーションです。

かつて、聖者が満天の星空の下、旅路の野宿先にて、民に焚火を囲んで道を説いたように、自然という奇跡の存在をめぐり、その道の泰斗のもとに人々が集まり、言葉に耳を傾け、対話を重ねる。ワークショップやフィールドワークを編纂する。そのような野外会集を「野生の学校」として開催します。登壇者は思想家、人類学者、数学者、生物学者、霊長類学者、解剖学者、情報学研究者、森林生態学者、固定種の採取従事者、土の研究家、染色家、芸術家、音楽家、ファッションデザイナー、武道家、映画監督、サーファー、アルピニスト、文学者、など・・・、多彩で多様な識者による複眼的な思考の研鑽を目指したいと思います。
奄美大島では、集うことを「ゆらう」といいます。海や山がゆらい、風や木々や鳥や蝶など野性の生命がゆらう。そろりと人々も大地にゆらう。語らい、笑い、唄い、踊る。一期一会のゆらいを祝う。ゆっくりと奄美の自然にまざり、とろけるように心の扉が開かれ、感性と思考がひとつに結ばれるような体験をお届けできれば幸いです。

雨天時は会場が「緑が丘小学校」となります。
※開催場所変更の判断は21日(木)中に公式HPでご案内します。

一般チケット

大人 ¥5,000 中高大生 ¥3,000 小学生以下無料


オンライン受講チケット

¥2,000

※イベント終了後も同じ配信IDにて2週間アーカイブ視聴可能です。


シマッチュ割チケット(奄美群島在住者割引)

大人 ¥4,000 中高大生 ¥2,000 小学生以下無料

シマッチュ割チケット販売:あまみエフエム ディ!ウェイヴ / ROAD HOUSE ASIVI / Can.nen Surf / 奄美リゾートばしゃ山村/ホテルカレッタ/ティダムーン 他

養老 孟司(Takeshi Yoro) 校長先生

1937年鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。著書に『唯脳論』『バカの壁』『手入れという思想』『遺言』『ヒトの壁』ほか多数。奄美大島には61年前、感染症のフィラリア症の検診と研究のために滞在して以降、何度も来島。

平城 達哉(Tatsuya Hiragi) 先生

1991年奄美市名瀬生まれ。奄美市立奄美博物館の自然科学系の学芸員として勤務。奄美の自然について研究や紹介をする傍ら、休日を利用して動植物の観察・撮影に奔走。ブログ『奄美大島いきもの通信』、写真展などを通じて動植物の独自な生態を紹介。

重田 美咲(Misaki Shigeta) 先生

1979年龍郷町秋名生まれ。龍郷町生涯学習センター勤務。国の重要無形民俗文化財「アラセツ行事」の保存会メンバーとして尽力中。『アラセツ行事』とは、旧暦8月最初の丙(ひのえ)日の明け方に行われる『ショチョガマ祭り』と夕方の『平瀬マンカイ』の2つの祭事のこと。

ホテルカレッタ特別宿泊プラン(60名限定)

便利な「ホテルカレッタ」↔︎「会場(YURAU)]」往復直行送迎バス

「野生の学校」開校の13時から終了後の21時過ぎまで運行予定です。
午前中から始まる空港送迎もご利用ください。

※詳細は11月1日に、お知らせ予定です。
※レンタカーでお越しのお客さまは無料のホテル駐車場をご利用ください。

お得な料金プラン

「ホテルカレッタ」特別プラン、1泊(素泊り)¥7,150~

※往復のバス送迎付
※詳細はホテルに直接お問い合わせください。

ご予約はホテルカレッタホームページの予約バナーから
https://www.hotel-caretta.com


お電話でのご予約は
0997-62-3821

 鹿児島県大島郡龍郷町芦徳419-1

世界を揺るがしたパンデミックによって、リモートワークを余儀なくされた2020年の夏の終わり。わたしはララと近所の海辺を散歩していました。秋風が吹き始めた夕暮れ、はしなくも、このポール・ゴーギャン晩年の作品タイトルが心中を去来したのです。
それから、自然とはなにか?人は自然か?生物とは?細菌と菌類はなにが違うのか?ウィルスは生命をもつのか?森と海とそのあいだの関係は?生命はどこからやってきて、どこへいくのだろう?わたしたちいきものは、自分の意志で生まれてくることも死ぬことも、タイミングすら選択できない・・・。矢継ぎ早に次々といろんなクエスチョンが湧きおこったのでした。
わたしは自然のことをこれっぽっちも知らない。このことは、多くの人にも共通することかもしれない。

もう一度、わたしたちは自然に学ぶことをはじめるべきではないか?

※ララは2006年から家族になってくれたミニチュア・シュナウザーの女の子。2022年4月の終わりに、15歳と5ヶ月の生涯を閉じました。彼女のいのちが流れ星のように消えていった経験も、「野生の学校」をつくることになる源流のひとつです。

NASA

現在、この国はAIやIoE、それらを組み合わせて膨大で複雑なビッグデータを収集、分析、解析し、正確な判断によって社会問題を解決する、いわるスマート社会の実現に向けて走り出しています。あるいはシンギュラリティに向かって・・・。
もちろん、デジタル技術が進展して人々の暮らしが豊かで便利なものになり、ハードルの高い課題を速やかに、本質的にクリアできるテクノロジーを否定するものではありません。けれど、市場競争の激化、貧富の差の拡大や自国の失業者の増加、産業が空洞化し衰退する可能性。文化や価値観の違いによる対立や、技術や優秀な人材の流出の懸念。さらに、資本主義のグローバリゼーションによってもたらされるパンデミック。気候変動による地球規模の異常気象、自然災害の発生の顕在化が世界を揺るがしています。
子どものころ、マンガやアニメーションで描かれていた未来社会は、明るく洗練され、何不自由なく暮らすことが約束された憧れの未来像が描かれていました。創作者たちの善良で愛に満ちた、豊かな想像力は、戦争経験者であるが故に、自由と平和を希求し後世にバトンをつなぐ強い意志が通底していたように思います。
はたして、託されたものは儚い夢でしかなかったのでしょうか。
経済成長至上主義という信仰から立ち戻れないわたしたちは、もうすでにパンドラの箱を開けてしまっているのでしょうか。

緑の美しい地球が誕生するための可能性を説いた一説を思いだしました。この惑星がいかに奇跡的な存在であるかを喩えています。正確には覚えていないのですが、おおよそ次のような言葉だったと思います。
「ばらばらに分解した精密な懐中時計のパーツをプールに投げ入れるとする。水中に散らばったパーツが、やがてなんらかの偶然が重なり完璧な懐中時計に復元されて、再び時を刻み始めるようなこと」
そんなこと、起こりえるのでしょうか?いえ、現実に、こうして地球という惑星のゆりかごの中でわたしたちは生まれ、今もこうして育まれています。
人類だけが特別なものではなく、生きとし生きるすべての生命をこの星はあずかり、大地や海洋や氷河や大気はもちろん、建造物やマイクロプラスチックなども含めた全てのマテリアルの集合体まるごとを引き受けてくれています。にもかかわらず、わたしたちはすべてを与えられたまま放蕩する、恩知らずのならず者に成り下がってしまったのではないか。返礼のときは迫っている。

この星に訊いてみたい。
「お元気ですか?」  「・・・・・・・・・」
「わたしたちの過ちを許してくれますか?」  「・・・・・・・・・」
「どうにか立ち直す手立ては、まだ残されていますか?」  「・・・・・・・・・」

同じ質問を道端に咲く草花や、蜜を求めてやって来た蝶や、その蝶にいたずらをするかのように追いかけてきたそよ風にも訊ねてみたいと思います。同じく自然の声に耳を澄ませるように、なにかヒントをもった人々の話に耳をかたむけ、ときに訊ねてみたいと思うのです。

自然が豊かな野外で。未来を託せる仲間たちと共に。

協賛:patagonia / 一般社団法人NEDI
後援:あまみエフエム ディ!ウェイヴ / アーマイナープロジェクト/ マチイロマガジン/
コシマプロダクション/ はれのひ /Can.nen Surf / 奄美リゾートばしゃ山村 /
ホテルカレッタ / ティダムーン / 株式会社しーま / 用安集落会 / 緑が丘小学校/奄美手塾師会 /奄美野鳥の会 / 株式会社ブイキューブ
撮影協力:鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム
主催:野生の学校実行委員会